用語分類: 法律用語

遺贈とは?

遺言を使えば、内縁の配偶者・孫・友人・NPOなど法定相続人以外の人にも財産を渡すことができ、これが唯一の合法的な方法です。割合で指定する包括遺贈は債務も比例して引き継ぐ点に注意が必要で、特定の財産だけを指定する特定遺贈なら指定した資産のみが移ります。受遺者は放棄もでき、特定遺贈はいつでも、包括遺贈は相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。配偶者・子・直系尊属の遺留分を超える遺贈は、不足分を金銭で精算することになります。

遺贈のイメージ

対策

「遺贈」に直面したとき、または事前に備えるときの基本ステップです。

ステップ 1: 渡したい人と財産を書き出す

受遺者と渡す財産(特定の資産か全体の○%か)をリスト化します。受遺者が法定相続人以外であれば遺贈の一択になります。

ステップ 2: 包括遺贈か特定遺贈かを選ぶ

債務を引き継がせたくない場合は特定遺贈を選びます。割合で渡したい場合は包括遺贈になり、債務も比例して引き継がれます。

ステップ 3: 遺留分を確認する

配偶者・子・直系尊属の遺留分(法定相続分の1/2、直系尊属のみのケースは1/3)を侵害しない範囲に収めます。

ステップ 4: 公正証書遺言として作成する

最寄りの公証役場へ予約します。費用は財産1,000万円で約1.7万円からで、証人2名が必要になります。

ステップ 5: 受遺者と遺言執行者に共有する

遺言の存在を知らせておくと、相続開始後の執行がスムーズになります。執行者を遺言で指定しておくとさらに安心です。

遺贈の定義

法定相続人ではない人や団体に財産を渡したい場合、遺贈が唯一の合法的な手段です。対象には内縁の配偶者、孫、甥姪、友人、NPOなどが含まれます。コストは遺言書の作成費用のみで、公正証書遺言なら財産1,000万円で手数料約1.7万円、1億円で約4.3万円が目安になります。

遺贈は次の2類型に分かれます

  1. 包括遺贈 ── 「全財産の3分の1をAに」のように割合で指定します。受遺者は相続人と同じ権利義務を負うため、債務も比例して引き継ぎます。債務超過のリスクには注意が必要です。
  2. 特定遺贈 ── 「○○銀行の預金をAに」のように特定の資産を指定します。指定した資産だけが移り、債務は引き継ぎません。

放棄の手続きもそれぞれ異なります。包括遺贈の受遺者は相続人と同じ権利義務を負うため、放棄するには相続放棄と同じく相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります(収入印紙800円+切手数百円)。特定遺贈はいつでも放棄でき、他の相続人や遺言執行者へ意思表示すれば足ります。遺言は遺言者の単独行為なので受遺者の事前同意は不要ですが、効力が発生する遺言者の死亡時以降に放棄を選べる仕組みになっています。

遺留分との関係も押さえておきましょう。配偶者・子・直系尊属には法定相続分の1/2(直系尊属のみのケースは1/3)の遺留分が保障されており、これを超える遺贈があった場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求として金銭で精算を求めることができます。2019年7月の改正により、不動産などの現物返還から金銭請求へ変わりました。請求の時効は侵害を知ってから1年、相続開始から最長10年と短いため、遺贈で揉めた場合は早期に内容証明郵便で意思表示することが欠かせません。

実家・土地

誰も継ぎたくない「負動産」── 山林100万円が招いた30年の維持費トラブル

父が遺した地方の山林(評価額100万円)と預貯金500万円。子ども2人は預金は分けたものの、山林の買い手は見つからず共有のまま。毎年8万円の固定資産税と維持費が赤字になり、30年で120万円の出費に。

普通じゃない家族

20年連れ添った内縁の妻に1円も渡らない──遺言書がなく夫の甥に全財産を奪われた話

20年連れ添った内縁の妻が、夫の死後に法定相続権がないため自宅4,000万円と預貯金1,000万円を1円も受け取れず、親族の甥に全額が渡る結果に。妻は一晩で住む場所を失う羽目に。「全財産を内縁の妻に遺贈する」という遺言書一枚で防げたケースを公開情報・判例をもとに解説。

関連リスト(準備中)

本サイトでは、遺贈に関する判例(最高裁・高裁を中心に)の網羅一覧(推定 100 件)を整備中です。ソース: courts.go.jp(裁判例情報)。

公開され次第、当ページから直接アクセスできるようになります。

よくある誤解、質問

誤解1. 遺贈と贈与を混同するケースが多いですが、贈与は生前に結ぶ契約、遺贈は遺言にもとづいて死後に効力が発生するもので、まったく別の制度です。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解2. 相続は法定相続人が当然に承継するものですが、遺贈は相続人以外の人にも財産を遺すことができます。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解3. 包括遺贈は債務も引き継ぐため、資産だけ受け取って債務は引き継がない、という選び方はできません。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
Q1. 遺贈と贈与は何が違う?
A. 贈与は生前に「あげます/もらいます」の契約を結ぶもの。遺贈は遺言という単独行為で、効力は遺言者の死亡時に発生します。受贈者の同意は不要ですが、受遺者は放棄ができます。
Q2. 相続人以外にも遺贈できる?
A. できます。むしろ遺贈の最大の意義は「法定相続人以外」に財産を渡せる点にあります。内縁の配偶者・孫・甥姪・友人・団体などが典型例です。ただし他の相続人の遺留分は侵害できません。
Q3. 遺贈を放棄したい場合は?
A. 特定遺贈はいつでも放棄でき、放棄の意思表示は他の相続人や遺言執行者に対して行います。包括遺贈は相続放棄と同じく、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

根拠条文