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公正証書遺言とは?

公正証書遺言は公証人が作成し、原本を公証役場が保管する遺言書で、検認手続きが不要な最も確実な形式です。費用は財産額に応じて公証人手数料令で決まり、1,000万円なら約1.7万円、5,000万円で約2.9万円、1億円で約4.3万円です。証人2名の立ち会いが必須で、公証役場に紹介を依頼する場合は1名あたり6,000〜10,000円が目安になります。財産3,000万円超・不動産あり・相続人複数・複雑な家族関係のいずれかに該当する場合は、自筆ではなく公正証書を選ぶべきです。

公正証書遺言のイメージ

対策

「公正証書遺言」に直面したとき、または事前に備えるときの基本ステップです。

ステップ 1: 財産目録と渡す相手の整理

不動産(登記事項証明書)・預貯金(通帳)・有価証券などをリスト化。受遺者ごとに何を渡すか文章で書き出す。

ステップ 2: 必要書類を集める

①遺言者の印鑑証明書(3か月以内)②相続人・受遺者の戸籍謄本 ③不動産は登記事項証明書・固定資産評価証明書 ④証人2名の本人確認資料。

ステップ 3: 公証役場に電話予約

最寄り公証役場(または任意の公証役場)に電話。本ページ下部の手数料早見表で大まかな費用を試算しておくとスムーズ。

ステップ 4: 公証人と文案を打ち合わせ

メール・FAX・面談で複数回やり取り。表現の修正や条項追加を経て最終案を確定(通常2〜4週間)。

ステップ 5: 当日、本人+証人2名で公正証書作成

公証役場へ出頭。所要時間30分〜1時間。手数料を支払い、原本は公証役場が保管、正本・謄本を受領。

公正証書遺言の定義

公正証書遺言は、自筆証書遺言を圧倒的に上回る確実性を持ちます。主な強みは次の3点です

  1. 形式不備で無効になるリスクがほぼゼロです。公証人が法律の専門家として作成するためです。
  2. 公証役場が原本を保管するため、紛失・改ざん・隠匿のリスクがありません。
  3. 家庭裁判所の検認手続きが不要で、相続開始後すぐに執行できます。

費用は財産額に応じて公証人手数料令で決まっており、財産1,000万円で約1.7万円、3,000万円で約2.3万円、5,000万円で約2.9万円、1億円で約4.3万円、3億円で約9.5万円です。証書枚数や付帯条項により若干加算されます。

作成手順と必要書類:①事前に公証役場へ予約して公証人と内容打ち合わせ、②書類提出(遺言者の印鑑証明書(3か月以内)/相続人・受遺者の戸籍/不動産は登記事項証明書・固定資産評価証明書/預貯金は通帳コピー等)、③作成当日は本人+証人2名で公証役場に出頭、公証人が遺言を読み上げ・本人確認・押印。所要時間は当日30分〜1時間、事前準備に1〜2か月。本人が公証役場に行けない場合は 公証人の出張(病院・自宅)も可能(出張料・日当別途、数万円加算)。

証人欠格と入手方法:証人2名は法律上 欠格事由あり ── 推定相続人・受遺者・その配偶者と直系血族・未成年者・公証人の関係者は不可(民法974条)。利害関係のない知人2名を確保するか、公証役場に依頼すれば紹介してもらえます(1名 6,000〜10,000円程度)。結論:財産3,000万円超/不動産あり/相続人複数/再婚・認知子・内縁配偶者などの複雑な家族関係 ── これらのいずれかに該当するなら、自筆証書ではなく公正証書一択です。

普通じゃない家族

父の死後に発覚した「愛人の子」──非嫡出子へ2,000万円を支払った家族の話

父の死後、戸籍を調べて初めて「認知された愛人の子」の存在が発覚。現行法では実子と同じ相続分を持つため、妻と長男はマンション6,000万円を守るため預貯金を切り崩して2,000万円を非嫡出子に支払った

普通じゃない家族

20年連れ添った内縁の妻に1円も渡らない──遺言書がなく夫の甥に全財産を奪われた話

20年連れ添った内縁の妻が、夫の死後に法定相続権がないため自宅4,000万円と預貯金1,000万円を1円も受け取れず、親族の甥に全額が渡る結果に。妻は一晩で住む場所を失う羽目に。「全財産を内縁の妻に遺贈する」という遺言書一枚で防げたケースを公開情報・判例をもとに解説。

家族・親族

実印を押さない頑固な親族──遺産分割協議が2年間止まった話

預貯金1,500万円の相続で、兄弟4人は分け方には合意しているのに、三男だけが過去の感情的な理由で実印を押すことを拒否。電話も手紙も無視され、結局2年かけて遺産分割調停へ。

認知症・お金

生命保険2,000万円の受取人変更を忘れた夫──10人以上の親族に保険金が分散した話

夫が妻を受取人にしていた生命保険2,000万円。妻が先に亡くなっていたのに受取人変更を忘れたまま夫も他界。約款により「妻の法定相続人」全員が保険金を受け取ることになり、夫の兄弟や妻側の甥姪まで登場して10人以上に分散戸籍収集だけで半年、総額1.5年の手続きに。受取人の定期見直しの重要性を公開情報・保険約款をもとに解説。

公正証書遺言の作成手数料早見表(公証人手数料令ベース)

受遺者ごとの財産額に応じて手数料が決まります。複数の相続人・受遺者がいる場合は、それぞれの取得額で計算し合算します。

受遺者ごとの財産額手数料(基本)備考
100 万円以下5,000 円最小区分
100 万円超 〜 200 万円以下7,000 円
200 万円超 〜 500 万円以下11,000 円
500 万円超 〜 1,000 万円以下17,000 円
1,000 万円超 〜 3,000 万円以下23,000 円
3,000 万円超 〜 5,000 万円以下29,000 円
5,000 万円超 〜 1 億円以下43,000 円
1 億円超 〜 3 億円以下43,000 円 + 5,000 万円ごとに 13,000 円加算: 2 億円なら 43,000 + 13,000 × 2 = 69,000 円
3 億円超 〜 10 億円以下95,000 円 + 5,000 万円ごとに 11,000 円加算: 5 億円なら 95,000 + 11,000 × 4 = 139,000 円
10 億円超249,000 円 + 5,000 万円ごとに 8,000 円加算最大区分
全体加算11,000 円財産総額が 1 億円以下の場合に加算
証書枚数加算1 枚につき 250 円正本・謄本それぞれに発生
公証人の出張通常手数料の 1.5 倍 + 日当(4 時間以内 1 万円・超 2 万円)+ 交通費実費本人が公証役場に行けない場合
証人 2 名(公証役場で紹介)1 名あたり 6,000〜10,000 円公証役場による
祭祀承継・遺言執行者指定など特定条項11,000 円条項追加

具体的な試算例:
・財産 5,000 万円を子 1 人に全部 → 29,000 + 11,000(全体加算)= 40,000 円程度
・財産 1 億円を配偶者と子 2 人に法定相続分通り(配偶者 5,000 万円、子各 2,500 万円) → 29,000 + 23,000 × 2 + 11,000 = 86,000 円程度
・財産 3 億円を配偶者と子 1 人に均等 → (1.5 億円分の手数料) × 2 + 加算 ≈ 15〜20 万円程度

必要書類: ① 遺言者の印鑑証明書(3 か月以内)、② 相続人・受遺者の戸籍謄本、③ 不動産は登記事項証明書・固定資産評価証明書、④ 預貯金は通帳コピー、⑤ 証人 2 名の本人確認資料。

公証役場の予約から作成まで: 通常 2〜4 週間。事前打ち合わせ(電話・メール)→ 必要書類提出 → 文案確認 → 当日出頭(30 分〜1 時間)。

出典: 公証人手数料令、日本公証人連合会公表情報(取得・整理 2026-04-13)

よくある誤解、質問

誤解1. 「公正証書遺言は高すぎる」は財産規模次第。1,000万円なら2万円程度から作れる。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解2. 「公証人が来てくれるから家から出なくていい」は出張料が加算される。原則は本人が出向く。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解3. 「公正証書遺言は無効にならない」は誤り。遺言能力欠如・口授不備等で無効になる事例もある。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
Q1. 公正証書遺言の作成にはどんな書類が必要?
A. ①遺言者の印鑑証明書(3か月以内)②相続人・受遺者との関係を示す戸籍謄本 ③財産目録(不動産は登記事項証明書、預貯金は通帳コピー等)④証人2名の身元確認資料。事前に公証人と打ち合わせるとスムーズ。
Q2. 証人は誰でもいい?
A. 推定相続人・受遺者・その配偶者及び直系血族・未成年者・公証人の関係者は欠格。利害関係のない知人や、公証役場に依頼すれば紹介してもらえます(1名6,000〜10,000円程度)。
Q3. 内容を変更したくなったら?
A. いつでも何度でも変更可能です。新しい公正証書遺言を作成すれば、矛盾する旧遺言の部分は撤回扱い。再作成の手数料が同じくかかりますが、最も新しい遺言が優先されます。

根拠条文