用語分類: 手続き
家庭裁判所とは?
相続のほぼすべての手続きは家庭裁判所が窓口です。具体的には遺産分割調停・相続放棄の申述・遺言検認・特別代理人や不在者財産管理人の選任などが該当します。全国に本庁50・支部203・出張所77があります。管轄は被相続人の最後の住所地が原則ですが、遺産分割調停は相手方の住所地になります。費用は1件あたり収入印紙800〜1,200円+連絡用切手数百円と低額です。手続きはまず調停から始まり、数か月から2年程度かかります。調停が不調に終わると審判に移行する二段構えです。
目次
対策
「家庭裁判所」に直面したとき、または事前に備えるときの基本ステップです。
ステップ 1: やりたい手続きを特定
相続放棄/限定承認/遺産分割調停/遺言検認/特別代理人選任/不在者財産管理人選任 など。
ステップ 2: 管轄家裁を確認
相続放棄・遺言検認は被相続人の最後の住所地、遺産分割調停は相手方の住所地。本ページ下部の全国一覧で確認。
ステップ 3: 必要書類を取り寄せ
被相続人の出生〜死亡までの連続戸籍、申立人と関係相続人の戸籍、住民票、固定資産評価証明書など(手続きにより異なる)。
ステップ 4: 申立書を作成して提出
裁判所HPの様式を使用。収入印紙800〜1,200円+連絡用切手数百円を添えて窓口提出または郵送。
ステップ 5: 期日呼出 → 出頭
通常1〜2か月後に第1回期日。本人出頭が原則だが、調停は弁護士代理可。事案により6か月〜2年。
家庭裁判所の定義
相続関連のほぼすべての家事手続きは家庭裁判所が窓口になります。具体的には、遺産分割調停・審判、相続放棄の申述、限定承認、遺言書の検認、特別代理人や不在者財産管理人の選任、寄与分、特別寄与料などです。費用は1件あたり収入印紙800〜1,200円+連絡用切手数百円と低額です(戸籍取得実費は別途数千円〜数万円かかります)。本人申立ても可能ですが、相手方と争いがある場合や財産規模が大きい場合は弁護士依頼が現実的で、調停案件の着手金は30〜50万円が相場になります。
全国の家裁網と管轄:家裁は全国に 本庁50(各都道府県庁所在地など)+ 支部203 + 出張所77 = 合計330か所 あります。申立て先は原則として 「被相続人の最後の住所地」(相続放棄・遺言検認等)または 「相手方の住所地」(遺産分割調停)を管轄する家裁。たとえば父が東京都新宿区で亡くなれば「東京家庭裁判所」、長野県松本市で亡くなれば「長野家庭裁判所松本支部」です。管轄を誤ると差戻しになるため、管轄区域は事前に裁判所ウェブサイトで必ず確認します。
調停 → 審判の二段構え:家裁の手続きは原則として 調停(裁判官+調停委員2名を交えた話し合い、月1回程度で半年〜2年)でまず合意形成を試み、合意できなければ 審判(裁判官が職権で結論を下す)に移行します。遺産分割・寄与分・特別寄与料などは 「調停前置主義」が採られているため、いきなり審判申立てはできません。「家裁=離婚専門」のイメージがありますが、相続関連の窓口としても主役です。
家庭裁判所が関係する事例
預貯金1,500万円の相続で、兄弟4人は分け方には合意しているのに、三男だけが過去の感情的な理由で実印を押すことを拒否。電話も手紙も無視され、結局2年かけて遺産分割調停へ。
20年音信不通の弟が相続人に──不在者財産管理人の申立で2年・100万円かかった話
兄弟3人のうち1人が20年以上音信不通。預貯金1,500万円と実家1,000万円を分けるには全員の実印が必要だが、行方不明の相続人がいると遺産分割協議が成立しない。家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てるしかなく、予納金100万円・期間2年を費やした件。生前に連絡先を把握し、遺言執行者を指定しておくべきだったケースを解説。
「使い込み」を疑われた次男──認知症の母の預金3,000万円をめぐる兄弟3年の戦い
認知症の母の通帳を管理していた次男が、母の死後に長男から「使い込み」を疑われた件。5年分の通帳照会で使途不明金が浮上し、次男の取り分は法定相続分1,500万円から800万円に減額。3年の調停と双方320万円超のコスト。
全国の家庭裁判所 本庁 50 か所
相続放棄申述・遺産分割調停・遺言検認等の手続き窓口。被相続人の最後の住所地を管轄する家裁が原則。
| 管轄都道府県 | 家庭裁判所名 | 所在地 | 電話番号 | 公式URL |
|---|---|---|---|---|
| 北海道(札幌管区) | 札幌家庭裁判所 | 札幌市中央区大通西11 | 011-290-2424 | 公式 |
| 北海道(函館管区) | 函館家庭裁判所 | 函館市上新川町1-8 | 0138-38-2370 | 公式 |
| 北海道(旭川管区) | 旭川家庭裁判所 | 旭川市花咲町4 | 0166-51-6251 | 公式 |
| 北海道(釧路管区) | 釧路家庭裁判所 | 釧路市柏木町5-7 | 0154-41-4171 | 公式 |
| 青森県 | 青森家庭裁判所 | 青森市長島1-3-26 | 017-722-5421 | 公式 |
| 岩手県 | 盛岡家庭裁判所 | 盛岡市内丸9-1 | 019-622-3395 | 公式 |
| 宮城県 | 仙台家庭裁判所 | 仙台市青葉区片平1-6-1 | 022-222-6173 | 公式 |
| 秋田県 | 秋田家庭裁判所 | 秋田市山王7-1-1 | 018-824-3121 | 公式 |
| 山形県 | 山形家庭裁判所 | 山形市旅篭町2-4-22 | 023-623-9511 | 公式 |
| 福島県 | 福島家庭裁判所 | 福島市花園町5-38 | 024-534-2156 | 公式 |
| 茨城県 | 水戸家庭裁判所 | 水戸市大町1-1-38 | 029-224-8511 | 公式 |
| 栃木県 | 宇都宮家庭裁判所 | 宇都宮市小幡1-1-38 | 028-621-2111 | 公式 |
| 群馬県 | 前橋家庭裁判所 | 前橋市大手町3-1-34 | 027-231-4275 | 公式 |
| 埼玉県 | さいたま家庭裁判所 | さいたま市浦和区高砂3-16-45 | 048-863-8743 | 公式 |
| 千葉県 | 千葉家庭裁判所 | 千葉市中央区中央4-11-27 | 043-222-0165 | 公式 |
| 東京都 | 東京家庭裁判所 | 千代田区霞が関1-1-2 | 03-3502-8311 | 公式 |
| 東京都(立川支部相当) | 東京家庭裁判所立川支部 | 立川市緑町10-4 | 042-845-0317 | 公式 |
| 神奈川県 | 横浜家庭裁判所 | 横浜市中区寿町1-2 | 045-345-1111 | 公式 |
| 新潟県 | 新潟家庭裁判所 | 新潟市中央区学校町通1-1 | 025-222-4131 | 公式 |
| 富山県 | 富山家庭裁判所 | 富山市西田地方町2-9-1 | 076-421-6133 | 公式 |
| 石川県 | 金沢家庭裁判所 | 金沢市丸の内7-1 | 076-262-3225 | 公式 |
| 福井県 | 福井家庭裁判所 | 福井市春山1-1-1 | 0776-22-5000 | 公式 |
| 山梨県 | 甲府家庭裁判所 | 甲府市中央1-10-7 | 055-235-1131 | 公式 |
| 長野県 | 長野家庭裁判所 | 長野市旭町1108 | 026-228-3551 | 公式 |
| 岐阜県 | 岐阜家庭裁判所 | 岐阜市美江寺町2-4-1 | 058-262-5121 | 公式 |
| 静岡県 | 静岡家庭裁判所 | 静岡市葵区追手町10-80 | 054-252-6111 | 公式 |
| 愛知県 | 名古屋家庭裁判所 | 名古屋市中区三の丸1-7-1 | 052-223-3601 | 公式 |
| 三重県 | 津家庭裁判所 | 津市中央3-1 | 059-226-4171 | 公式 |
| 滋賀県 | 大津家庭裁判所 | 大津市京町3-1-2 | 077-503-8120 | 公式 |
| 京都府 | 京都家庭裁判所 | 京都市左京区下鴨宮河町1 | 075-722-7211 | 公式 |
| 大阪府 | 大阪家庭裁判所 | 大阪市中央区大手前4-1-13 | 06-6943-5321 | 公式 |
| 兵庫県 | 神戸家庭裁判所 | 神戸市中央区橘通2-1-1 | 078-371-3351 | 公式 |
| 奈良県 | 奈良家庭裁判所 | 奈良市登大路町35 | 0742-26-1271 | 公式 |
| 和歌山県 | 和歌山家庭裁判所 | 和歌山市二番丁2 | 073-422-4191 | 公式 |
| 鳥取県 | 鳥取家庭裁判所 | 鳥取市東町2-223 | 0857-22-2171 | 公式 |
| 島根県 | 松江家庭裁判所 | 松江市母衣町68 | 0852-23-1701 | 公式 |
| 岡山県 | 岡山家庭裁判所 | 岡山市北区南方1-8-42 | 086-223-6281 | 公式 |
| 広島県 | 広島家庭裁判所 | 広島市中区上八丁堀2-43 | 082-228-0421 | 公式 |
| 山口県 | 山口家庭裁判所 | 山口市駅通り1-6-1 | 083-922-1330 | 公式 |
| 徳島県 | 徳島家庭裁判所 | 徳島市徳島町1-5 | 088-622-7600 | 公式 |
| 香川県 | 高松家庭裁判所 | 高松市丸の内1-36 | 087-851-1549 | 公式 |
| 愛媛県 | 松山家庭裁判所 | 松山市一番町3-3-8 | 089-941-1131 | 公式 |
| 高知県 | 高知家庭裁判所 | 高知市丸ノ内1-3-5 | 088-822-0509 | 公式 |
| 福岡県 | 福岡家庭裁判所 | 福岡市中央区六本松4-2-4 | 092-711-9651 | 公式 |
| 佐賀県 | 佐賀家庭裁判所 | 佐賀市中の小路3-22 | 0952-23-3161 | 公式 |
| 長崎県 | 長崎家庭裁判所 | 長崎市万才町9-20 | 095-822-2147 | 公式 |
| 熊本県 | 熊本家庭裁判所 | 熊本市中央区京町1-13-11 | 096-364-2153 | 公式 |
| 大分県 | 大分家庭裁判所 | 大分市荷揚町7-15 | 097-532-7161 | 公式 |
| 宮崎県 | 宮崎家庭裁判所 | 宮崎市旭1-8-1 | 0985-22-4129 | 公式 |
| 鹿児島県 | 鹿児島家庭裁判所 | 鹿児島市山下町13-47 | 099-808-3776 | 公式 |
| 沖縄県 | 那覇家庭裁判所 | 那覇市樋川1-14-1 | 098-855-1000 | 公式 |
管轄ルール: 相続放棄申述・遺言検認は 被相続人の最後の住所地、遺産分割調停は 相手方の住所地を管轄する家裁が原則です。支部・出張所を含めると全国 330 か所以上ありますが、本庁の管轄区域内であれば本庁で受け付けています。最新の管轄区域は各家裁の公式ページでご確認ください。連絡先は公開時点の情報です。
出典: 裁判所ウェブサイト (courts.go.jp)(取得・整理 2026-04-13)
よくある誤解、質問
- 誤解1. 「家裁=離婚専門」のイメージがあるが、相続のほぼ全手続きは家裁の管轄。
- 正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
- 誤解2. 管轄は「被相続人の最後の住所地」が基本。自分が住んでいる場所の家裁ではない。
- 正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
- 誤解3. 調停は「裁判」ではない。調停委員を交えた話し合い。合意できなければ審判へ移行。
- 正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
- Q1. どの家庭裁判所に申立てればよい?
- A. 相続放棄・遺言検認は被相続人の最後の住所地、遺産分割調停は相手方(共同相続人の一人)の住所地が原則です。例外的に当事者間で合意した家裁を選ぶことも可能です。
- Q2. 家裁の手続きに弁護士は必要?
- A. 相続放棄や遺言検認のような書類提出中心の手続きは本人申立てでも問題なく進められます。遺産分割調停・審判は、相手方と意見が対立している場合や財産額が大きい場合は弁護士依頼が現実的です。
- Q3. 申立費用はいくら?
- A. 相続放棄が収入印紙800円+連絡用切手数百円。遺産分割調停は1,200円+切手、関係書類(戸籍・登記簿等)の取得実費が別途数千円〜数万円かかります。
根拠条文
- 家事事件手続法 第3条の2〜(家裁の管轄) (e-Gov 法令検索)
- 民法 第907条(遺産分割の協議・審判) (e-Gov 法令検索)
- 民法 第915条(相続放棄の期間) (e-Gov 法令検索)