用語分類: 法律用語

認知とは?

父子関係は届出・判決・遺言のいずれかによる認知がない限り法律上発生せず、相続権もゼロのままです。母子関係は分娩の事実で当然に成立します。2013年の最高裁違憲決定により、認知された非嫡出子の相続分は嫡出子と同等になりました。父の死亡後でも、その死亡を知ってから3年以内であれば家庭裁判所へ認知の訴えを起こせます。遺言認知が判明した場合、すでに終わった遺産分割は民法910条にもとづき金銭で精算し直すことになります。

認知のイメージ

対策

「認知」に直面したとき、または事前に備えるときの基本ステップです。

ステップ 1: 父が生きている間にできること

父に任意認知届を出してもらう(市区町村役場、費用ゼロ)。または遺言認知(民法781条)で対応してもらう。

ステップ 2: 父の死亡後3年以内なら強制認知

家庭裁判所へ「認知の訴え」(収入印紙13,000円+鑑定費)。父の生前の言動・養育の事実・DNA鑑定が証拠。

ステップ 3: 弁護士に相談(時効・証拠の整理)

死後認知は時効が短く証拠集めも難航しやすいため、早期の弁護士相談が必須。

ステップ 4: すでに遺産分割が終わっている場合

「価額のみによる支払請求権」(民法910条)。現物の取り戻しではなく相続分相当額を金銭で精算。

ステップ 5: 遺言認知の準備(遺言者側)

存在を家族に明かせない子を相続人にしたい場合、遺言認知を公正証書で作成し、執行者を指定しておく。

認知の定義

父親と血のつながりがあっても、認知がなければ法律上の親子関係は発生せず、相続権もゼロのままです(母子関係は分娩の事実で当然に成立します)。

認知には次の3つの方法があります

  1. 任意認知 ── 父が市区町村役場へ認知届を提出します。費用はかかりません。
  2. 遺言認知 ── 民法781条にもとづき、遺言書に「Aを認知する」と記載します。遺言者の死亡時に効力が発生します。
  3. 強制認知 ── 子や母が家庭裁判所に認知の訴えを起こします。収入印紙13,000円に加えて鑑定費がかかります。

父の死亡後でも、その死亡を知ってから3年以内であれば死後認知の訴えが可能です(民法787条)。

2013年最高裁違憲決定の意味:かつて非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分でしたが、2013年9月の大法廷決定で違憲とされ民法900条が改正、認知された非嫡出子の相続分は嫡出子と同等になりました。ただしこれは「認知済み」が大前提。DNA鑑定で生物学的親子と分かっても、認知の届出・判決がなければ相続権は発生しません。

遺言認知の家族への衝撃と精算ルール:生前に家族に明かせなかった子どもに財産を残すため遺言認知が使われることがありますが、相続開始後に判明すると 既に終わった遺産分割協議のやり直しが必要になります。民法910条により、認知された子は他の共同相続人に対し 「価額のみによる支払請求権」を持つため、現物の遺産を取り戻すのではなく、相続分相当額を 金銭で支払う形で精算します。これにより家族間紛争に発展する典型ケースです。

普通じゃない家族

父の死後に発覚した「愛人の子」──非嫡出子へ2,000万円を支払った家族の話

父の死後、戸籍を調べて初めて「認知された愛人の子」の存在が発覚。現行法では実子と同じ相続分を持つため、妻と長男はマンション6,000万円を守るため預貯金を切り崩して2,000万円を非嫡出子に支払った

普通じゃない家族

20年連れ添った内縁の妻に1円も渡らない──遺言書がなく夫の甥に全財産を奪われた話

20年連れ添った内縁の妻が、夫の死後に法定相続権がないため自宅4,000万円と預貯金1,000万円を1円も受け取れず、親族の甥に全額が渡る結果に。妻は一晩で住む場所を失う羽目に。「全財産を内縁の妻に遺贈する」という遺言書一枚で防げたケースを公開情報・判例をもとに解説。

普通じゃない家族

面識のない前妻の子から「法定分2,000万円」を要求──後妻が借金してマンションを守った話

再婚後に父が急逝。後妻と前妻の子(35歳・面識なし)が相続人となり、前妻の子が法定相続分2,000万円を全額請求。後妻はマンション3,000万円を守るために預貯金1,000万円と銀行借入1,000万円で支払い、生活費が困窮

関連リスト(準備中)

本サイトでは、相続文脈での認知関連判例(任意認知・強制認知・遺言認知・死後認知)の網羅一覧(推定 1,700 件)を整備中です。ソース: courts.go.jp(裁判例情報)。

公開され次第、当ページから直接アクセスできるようになります。

よくある誤解、質問

誤解1. 「DNA鑑定で親子と分かれば自動的に相続権が発生する」は誤り。法律上の認知(届出・判決・遺言)が必要。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解2. 「2013年の違憲決定で非嫡出子の権利が嫡出子と同じになった」は正しいが、前提として認知が必要。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
誤解3. 遺言認知は他の相続人にとって大きな衝撃。遺産分割協議のやり直しが必要になる。
正しくは ── 該当箇所の本文を参照してください。
Q1. 父が亡くなった後でも認知してもらえる?
A. 父の死亡を知ってから3年以内であれば、家庭裁判所に「認知の訴え」を起こすことができます(死後認知)。DNA鑑定や生前の言動・養育の事実などを根拠に主張します。
Q2. 遺言認知が判明したら、すでに終わった遺産分割はどうなる?
A. 原則として、認知された子は他の共同相続人に対し「価額のみによる支払い請求権」を持ちます(民法910条)。すでに分けた遺産そのものを取り戻すのではなく、認知された子の相続分相当額を金銭で支払う形で精算します。
Q3. 認知されていない子に相続させたい場合は?
A. 父が生きているうちに認知届を出すか、遺言で認知(遺言認知)する方法があります。または、遺贈という形で財産を渡すこともできますが、相続人としての地位とは異なります。

根拠条文